「巨額の政府債務と利上げ」日経新聞2025年4月18日記事より
posted at 2025.04.28
日経新聞に興味深い記事があった。日銀出身で現在みずほリサーチ&テクノロジーに在籍する門間一夫氏が書いた記事。
マクロ経済学の教科書では、「利上げは景気を冷やし、インフレを抑える方向に作用するということになっているけれども、ほんとうにそうなるだろうか?」という問題提起がされている。
無借金経営の企業が増え、家計の金融資産も増えているいま、利上げの効果は昔とは違って、景気刺激的に働く可能性があるのではないかというもの。IMFが2024年に米国経済について指摘したことがあるようで(そのレポートを読んでみたい)、米国では2022年から23年にかけてほぼ0%から5%超までの利上げを行ったけども経済は減速しなかった、その一因は政府の利払いにあったのではないかということらしい。
米国政府の債務はGDPの100%近くに達していて、日本はさらに高い150%を超えている。
中身が給付金であれ利払いであれ、政府から民間にお金が流れればその分だけ人々の所得は増え、自動的な財政拡張効果によって景気や物価を刺激する面がある、ということだ。
金融政策の波及経路には、為替や株価などもあるので、これまでは全体として利上げは物価抑制効果を考えられてきたが、政府債務残高が巨額になった今、政府の利払い増による総需要押し上げ効果は、昔よりもずっと大きくなっているだろう。
時代は変わってきた。学校で学んだ経済学はそのままではもう通用しないの時代になっている気がする。